葬儀で初めて知る、家族も知らなかった「その人らしさ」

 

葬儀のお手伝いをしていると、ときどきこんな場面に出会います。

「そんなことしてたなんて、知らなかった。」

故人様を長く知るご家族から出る、そんな一言です。

たとえば、故人様が昔から大切にしていた趣味の話。

若い頃に撮った写真。

昔の仕事仲間から聞く、仕事をしていた頃のエピソード。

ご家族の前では見せなかった一面を、葬儀をきっかけに初めて知ることがあります。

「お父さん、こんなに人に慕われていたんだね。」

「おばあちゃん、昔はこんなに旅行してたんだ。」

「そんな仕事をしていた時期があったなんて知らなかった。」

そんな会話が、ご家族の中で生まれることがあります。

葬儀は、故人様とのお別れの時間です。

でも同時に、残されたご家族が「その人がどんな人生を歩んできたのか」を改めて知る時間でもあるのかもしれません。

写真一枚から、思い出が広がる

遺影写真を選ぶ際にも、思いがけない思い出が出てくることがあります。

アルバムを何冊も広げながら、

「この写真、懐かしいね。」

「この時はまだ若かったね。」

「この旅行、みんなで行ったよね。」

と、自然と会話が始まります。

最初は「遺影に使える写真を探す」という目的だったはずなのに、いつの間にか家族みんなで思い出話をしている。

葬儀の準備には、そうした時間もあります。

「その人らしい葬儀」ということ

葬儀には、決まった形だけがあるわけではありません。

故人様が好きだったもの。

大切にしていたもの。

家族との思い出。

長年続けてきた趣味。

そうしたものを知ることで、ご家族が「この人らしいね」と感じられるお別れの形を考えることができます。

もちろん、すべてを特別な形にする必要はありません。

写真を飾る。

好きだったものをそばに置く。

思い出の品を一つ添える。

それだけでも、その方らしさを感じられることがあります。

私たち葬儀社が大切にしているのは、葬儀を滞りなく進めることだけではありません。

ご家族から故人様のお話を伺いながら、「この方はどんな人生を歩んできたのだろう」と考えること。

そして、ご家族が最後の時間を少しでもその方らしく過ごせるようにお手伝いすること。

それも、葬儀という仕事の大切な部分だと考えています。

葬儀が終わったあと、

「こんな人だったんだね。」

「知らなかった思い出を聞けてよかった。」

そんな言葉が残るお別れもあります。

大切な人との最後の時間だからこそ、その人が歩んできた人生にも、少し目を向けてみてはいかがでしょうか。

 

執筆者プロフィール

石川大輔

石川大輔

株式会社しんこう 代表取締役社長
厚生労働省認定 一級葬祭ディレクター技能審査官/仏事コーディネーター
茨城県葬祭業協同組合 理事

1989年生まれ。大学卒業後、別の葬儀社で経験を積み、創業者である父の想いを受け継ぎ、株式会社しんこう代表取締役に就任。創業以来8,000以上の葬儀をお手伝い。
「お客様に“ありがとう”と喜んでいただけるお手伝いを、心を込めて行う」という理念のもと、社員一人ひとりが常にお客様の視点に立った誠実なサービスを大切にしている。
社名には「真心を込めて行う(真行)」という原点が息づいており、地域の皆様に親しまれる葬儀社として、ご遺族の心に寄り添い、安心をお届けすることに尽力している。